選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)~新型睡眠薬~
新型睡眠薬~選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)は2014年9月26日に販売が承認された、比較的新しい睡眠薬です。
この睡眠薬は今までのクスリとはまったく異なるタイプの睡眠薬となっており、副作用の報告も少なく、またせん妄が少ないなどの有益な報告もされています。
今回はこのスボレキサント(ベルソムラ)について説明します。
スボレキサント(ベルソムラ)の開発はメルク
スボレキサント(ベルソムラ)の開発は、アメリカ合衆国の大手製薬会社メルク・アンド・カンパニー(MSD)となっています。
開発名はMK-4305、アメリカでも2014年8月13日、日本では9月26日に承認されたばかりの新しい睡眠薬です。
スボレキサントが薬品名で、ベルソムラが販売時の商品名となっています。
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬とは?~スボレキサント(ベルソムラ)の特徴とは?~
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬とは、今までのベンゾジアゼピン系などとは全く異なる作用の薬です。
98年に発見された覚醒促進神経ペプチドには、オレキシンAとオレキシンBがあるのですが、これらがオレキシン1受容体とオレキシン2受容体に結合すると覚醒、つまり起きている状態を維持できることになります。
オレキシン受容体の結合を邪魔することで覚醒状態を抑え、眠れるようにする睡眠薬、それが選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)です。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系などは睡眠を促す薬でしたが、スボレキサント(ベルソムラ)は覚醒を抑える薬、といえばいいでしょうか。
まったく逆のアプローチから始まっている睡眠薬なわけです。
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)は睡眠の持続力、熟睡効果に優れる?
臨床試験によれば、少量の服用でもスボレキサント(ベルソムラ)は効果を発揮。
快適で心地よい睡眠をもたらすとの報告が多く、また副作用が少なかったことが示されており、近年使用が増えてきている睡眠薬のひとつです。
スボレキサント(ベルソムラ)は副作用が少ない?
スボレキサント(ベルソムラ)は副作用の報告が比較的少ない睡眠薬となっています。
少量の処方であれば昼間に眠気が出る程度とのことです。
なお、旧来の睡眠薬と作用の機序がことなるため、最近では旧来型のベンゾジアゼピン系などと共に処方されることもあるようです。
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)は老人のせん妄の発生が少なく、事故防止にも優れている
スボレキサント(ベルソムラ)はせん妄の報告が今のところない?ようです。
せん妄というのは、高齢者に特有の意識障害です。
時間や場所が急にわからなくなったりなど、痴呆症と似たような症状ですが、症状が時間とともに変動することが特徴となっています。
これがスボレキサント(ベルソムラ)では発生していないのだそうです。
なお、せん妄を予防する効果がどういった機序で起きているのかは明確ではありません。
ただ、これを飲むだけで転倒防止にもなり、認知症進行を阻害することにもつながるなら、それはすばらしいことです。
現在、この分野でのスボレキサント(ベルソムラ)処方が可能なのではないかと考えられています。
大規模な研究が待たれるところです。
選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサント(ベルソムラ)の処方を受けるには
スボレキサント(ベルソムラ)の処方を望むようでしたら、心療内科などを受診してお医者さんとよく相談して処方してもらいます。
決して量を多く服用してはいけません。
高容量では日中の機能低下、過剰な眠気の発生などが報告されており、なかには幻覚、麻痺なども発生したとのことです。