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パキシル(パロキセチン)で太るのはなぜ?体重増加の対策とダイエット方法について解説

パキシル(パロキセチン)で太るのはなぜ?体重増加の対策とダイエット方法について解説

 

パキシル(パロキセチン)は抗うつ剤における処方量トップ3に入る人気のクスリですが、このクスリを処方されている方のなかには、

「パキシルを飲んでから太った」「体重が増えた」「顔が膨らんだ」

といった副作用を訴える方が結構多くいます。

今回はこのパキシルと体重増加、太る理由とその対策について書いていきたいと思います。

 

 

パキシル(パロキセチン)で太る?体重増加する?

ぶっちゃけた話、パキシル(パロキセチン)で太ることはあるんでしょうか?

・・・結論からいいますと、パキシル(パロキセチン)で太ることはあります。

というより、パキシル(パロキセチン)は太りやすい、体重増加しやすい薬だと思います。

報告されている使用成績評価などよりも、太ることを訴える患者さんは多いように思います。

 

 

使用成績評価では「パキシル(パロキセチン)で太る・体重増加する」は少ない

じつは、パキシル(パロキセチン)の発売後半年間の副作用報告では、体重増加・太るとの訴えは0.27%でしかありませんでした。

しかし、実際にはもっと太っている人はいると思います。

副作用として報告していないだけで、体重増加に悩む人は多いのではないでしょうか。

とくに長期間にわたり服用している方には、その傾向が顕著であるように思われます。

むしろ初期においては、パキシル(パロキセチン)へ慣れず、逆に痩せることが多いように思います。

 

 

 

パキシル(パロキセチン)の飲み始めは太るよりも痩せることのほうが多い

パキシル(パロキセチン)の飲みはじめは、薬の効き方に対する慣れができておらず、嘔吐したり、気分が優れなかったり、拒食ぎみになってしまうことが多いと思います。

飲み始めて数週間、一か月ちょっとくらいは、体重の増加よりも減少の方が可能性としては高く、それも数キロ単位で減る方もいます。

パキシル(パロキセチン)を飲み始めて太りだすのは、早くて3カ月以降、一般的には6カ月以降でしょうか。

ある程度薬になれてきて、気分がパキシル(パロキセチン)の影響でリズムづけられるようになってくると、逆に食欲が増して太る方が多いように思います。

今まで食べられなかったことの反動的な感じでしょうか。

ですから、半年間の経過だけしかみないと、パキシル(パロキセチン)を飲みはじめて痩せ、慣れてきて太るの経過をすべて把握できていない可能性があり、データとしてちょっと足りてないんじゃないかと感じます。

実感としては、パキシル(パロキセチン)は太るクスリです。

 

 

パキシル(パロキセチン)は他の抗うつ剤と比較して太りやすいか?

先に書いてしまいますと、パキシル(パロキセチン)は他の抗うつ剤と比べて特別に太りやすいというわけではない、と思います。

太りやすさからみたら、三環系のアミトリプチリン(トリプタノール)やNaSSAのミルタザピン(リフレックス、レメロン)などの方が太りやすいでしょう。

ただパキシル(パロキセチン)は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のなかでは、かなり強く体重増加しやすい薬と言えると思います。

 

 

パキシル(パロキセチン)で太る理由・体重増加する理由

パキシル(パロキセチン)の服用で太る理由としては3つ挙げられると思います。

  1. 抗ヒスタミン作用による食欲増加
  2. セロトニンによる代謝抑制
  3. 抗コリン作用

 

パキシル(パロキセチン)で太る理由1、抗ヒスタミン作用による食欲増加

ヒスタミンはヒスチジンから変化しますが、脳内のヒスタミン量が増えると満腹中枢に作用して食欲が抑制されることになります。

パキシル(パロキセチン)はこのヒスタミン効果を妨げる効果がありますので、食欲がなかなか抑制されず、食べても食べても足りない感じになっていきます。

これがパキシル(パロキセチン)で太る理由その1です。

 

 

 

パキシル(パロキセチン)で太る理由2、セロトニンによる代謝抑制

パキシル(パロキセチン)は代謝を抑制する薬となります。

これによってエネルギー消費量が落ち、体重が減りにくい、太りやすい状況になります。

ただ、これはそこまで大きな影響か?というとちょっと疑問です。

パキシル(パロキセチン)による代謝抑制と言っても、そんなに劇的な抑制効果はないはずです。

 

 

 

パキシル(パロキセチン)で太る理由3、抗コリン作用による喉の渇き

個人的に、これが盲点のように思います。

パキシル(パロキセチン)を飲んでいる人に特別多いというわけでもないのかもしれませんが、うつ病患者にはジュースをやたら飲む人がいます。

パキシル(パロキセチン)を飲んで太っている人、ジュースを日ごろから飲んでいる人は多いです。

患者さんがパキシル(パロキセチン)で太ったと言ってきたら、一日に飲むジュースの量をきいてみてください。

たぶんがっつり飲んでます。

パキシル(パロキセチン)による抗コリン作用はさほど強いわけではないですが、まったくないわけでもない。

喉が渇いた、何か飲もうと思ったとき、ジュースを飲む癖をやめさせることは大事です。

 

 

パキシル(パロキセチン)で太る・体重増加した場合の対策・対処

とりあえず、パキシル(パロキセチン)の服用で太ったとしても、大して問題ではないと思います。

他の副作用に比べたら問題としては重要性が低いと思います・・・が本人がとても気にしているようなら、(太ることでさらに鬱になるのなら)対応をいろいろ考える必要があるでしょう。

とりあえず、運動をする、ジュースを飲まない、食事をゆっくりとるようにさせる(良く噛むようにさせる)などは取り入れたらいいと思います。

ただ、薬を変更すべきかというと疑問ですし、量を減らすのも問題が大きいと思います。

クスリの変更といったって、おなじSSRIなら多かれ少なかれ同じような問題はありますし、他のクスリには変更しにくいものもあります。

 

 

 

パキシル(パロキセチン)で太るなら、まずは運動するのが第一選択だが・・・

パキシル(パロキセチン)で太るのが気になるならまずは運動

・・・と言いたいところですが、パキシル(パロキセチン)飲んでいる患者さんに運動しろといっても、それはいろいろ酷な気がします。

そんなにやる気あったら薬飲んでませんからね。

そんな気力でるわけないだろっって患者さんは思ってます。ぜったい。

 

というわけで、運動しないなら食事制限もしくはゆっくり食べさせる。

ジュースは絶対排除でカロリー制限するしかないと思います。

間違っても、薬を中断したりしないよう、注意しておくことが必要でしょう。

安易な気分で中断すると、いろいろと大変です。

また、ジェイゾロフトに変更すると良いというお医者さんもいますので、そういったことを試す価値はあるとは思います。

ただ、変更時にも細心の注意は必要です。

よくよく患者さん、医師の双方が話し合って、納得のいく解決策をみつけられるといいですね。