眠気・倦怠感~パキシル(パロキセチン)の副作用と対策~
パキシル(パロキセチン)を服用されている方のなかには、昼間の眠気、倦怠感を訴える方が少なからずいらっしゃいます。
とくに働き盛りの中高年の方に多く、働いているため勝手に休めないことと相まって、抗うつ剤使用における大きな問題点となっています。
今回はこのパキシル(パロキセチン)と眠気、倦怠感の関係について書いていきたいと思います。
パキシル(パロキセチン)とは?
パキシル(パロキセチン)はグラクソ・スミスクラインが開発したSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬/Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)に分類される抗うつ薬です。
パキシル(パロキセチン)は1991年に英国で発売されたのち、世界中の多くの国で承認されてきました。
現在では
- 欝病治療薬としては100か国以上
- パニック障害、および強迫性障害の治療薬として約100か国
- 社会不安障害の治療薬としても70か国以上
- 全般性不安障害および外傷後ストレス障害の治療薬として20ヶ国以上
の国々で承認され、世界中の一億人以上の患者に投与されてきた抗うつ剤です。
日本国内でも2000年11月からパキシル(パロキセチン)は発売されており、一日一回の投与で済む手軽さも手伝って急速に使用が拡大しています。
パキシル(パロキセチン)は現在ではSSRIにおける第一選択として扱われることの多い抗うつ剤となっています。
日本の欝病患者数360万~600万人(WHO調べ)の多くが使用するクスリとなっています。
パキシル(パロキセチン)の作用機序
パキシル(パロキセチン)は、脳内セロトニン神経系でセロトニンの再取り込みを阻害。
脳内におけるセロトニン濃度を高め、抗不安作用と抗うつ作用を促すお薬とされています。
このセロトニンの濃度変化が睡眠の質を左右し、パキシル(パロキセチン)服用時の昼間の倦怠感、眠気に繋がっていると考えられています。
パキシル(パロキセチン)で倦怠感・眠気がおきる理由
パキシル(パロキセチン)などSSRIは用量にもよりますが、レム睡眠の量を減少させる効果が報告されています。
また、レム睡眠に落ちるときを遅延させることも知られており、これにより起床後にも眠気が残る、体調が回復しないなどの問題が知られています。
パキシル(パロキセチン)服用で不眠を訴える患者さんはとても多く、十分なレム睡眠をとれないことが粗暴行為に繋がることも考えられ、この薬の厄介な点の一つと考えております。
パキシル(パロキセチン)による不眠症、倦怠感、眠気にトラゾドン、ミアンセリン
パキシル(パロキセチン)による不眠症への対応として、睡眠持続作用の高いトラゾドン(レスリン、デジレル)との併用や
四環系抗うつ薬のミアンセリン(テトラミド)との併用が有効であるとの報告もありますが、個人的にはあまりいろいろと併用すると何が効いていて何が悪さしているのかわかりにくくなるため好きではありません。
出来る限りシンプルにした方がいいと思います。
パキシル(パロキセチン)で眠気、不眠症、倦怠感~できることなら昼寝が有効
個人的に一番お勧めしたいのは、パキシル(パロキセチン)を飲んで眠気が昼間に出たのなら、昼寝をすることです。
そのとき、二時間程度はしっかり寝ることをお勧めしたいです。
もちろん、仕事の関係上、学業の関係上、なかなかできないとは思います。
そこらへんに難しさがあります。。。
できるなら、昼寝が一番の効果的な対処法と思います。
そもそもパキシル(パロキセチン)を飲むに至った経緯に睡眠不足が影響していないか
そもそもパキシル(パロキセチン)を飲むということは、欝病、パニック障害、強迫性神経症、社会不安障害などの治療ということだと思います。
それらは、忙しすぎる社会、ストレスのたまる社会、十分な睡眠がとれない社会の結果、身体のホルモン産生や脳の受容体に障害が発生しておきるものです。
パキシル(パロキセチン)を飲んで眠気が出ているのか、それとも眠気が出るくらい忙しすぎる環境のせいで、うつ病などを発症してパキシル(パロキセチン)を飲むに至ったのか、その切り分けは重要です。
個人的には、パキシル(パロキセチン)を飲むよりもまず、しっかりと休んでほしいと思います。
パキシル(パロキセチン)はかなり副作用、依存性の高い薬であることが知られています。
まったく無意味な薬だとは言いませんが、利用に難のある、依存しやすい薬であることは確かです。
重要なことは、パキシル(パロキセチン)よりもなによりも、ストレスの少ない環境です。
まずはそれを実現できる社会が実現することを望みます。。。