『チュビファースト』を使ったアトピー治療のためのウェットラップ療法の手引き
『チュビファースト』というアトピー治療における画期的なアイテムがあります。
チュビファーストは、簡単にいってしまうと「筒状になった包帯」で、縦横にストレッチする低刺激性の素材でできたイギリス生まれのアイテムです。
伸縮性があるため扱いやすく、低刺激性の繊維を特殊な方法で織っているため皮膚にダメージが少ないことが特徴です。
また内側のチュビファーストを湿らせ、外側に乾いたチュビファーストを巻くことでウェットラップ療法なども簡単に行うことができる、アトピー性皮膚炎治療のための画期的なアイテムとなっています。
今回はこのチュビファーストについて、自分なりの使い方なども踏まえて書いていきたいと思います。
チュビファーストの色・種類・サイズ~レッド、グリーン、ブルー、イエロー、パープル
チュビファーストは幼児から成人まで使用できるよう、全5種類に色別に分かれています。
ラインの色 | 年齢と適用部位 | 円周 | 幅 | 長さ |
レッド | 生後4ヵ月未満の腕 | 9~18cm | 3.5cm | 10m |
グリーン | 5歳未満の手足/5歳以上の腕 | 14~24cm | 5.0cm | 10m |
ブルー | 5歳以上の脚/成人の腕 | 24~40cm | 7.5cm | 10m |
イエロー | 小児の胴体/成人の腕・脚 | 35~64cm | 10.75cm | 10m |
パープル | 成人の胴体(大) | 64~130cm | 20.0cm | 5m |
気持ちゆるめに作られていると思いますが、キツいようでしたら一つ大き目なものを利用するようにしましょう。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法
アトピー治療の方法のひとつに、ウェットラップ療法というものがあります。
これは、ステロイド外用剤などを塗った上に湿らせた布などを巻き、ラップで蒸発を抑えて湿潤させた状態で治療する方法です。
このウェットラップ療法において、チュビファーストはさまざまな点で利点があります。
たんに濡れた包帯とラップを利用してウェットラップ療法をした場合よりも、チュビファーストを利用した方がメリットが大きいと言われています。
実際、自分も利用してみてそう思いましたので、それについて書いておきます。
チュビファーストを利用したウェットラップ療法の方法
1.まず、内側に巻くチュビファーストを温かい湯で濡らします。
2.しっかり絞って余分な水けをとります
3.外側に乾いたチュビファーストを巻きます
4.ほつれの気になるところは折り返して使用するか、チュビファースト専用に開発されたMepitacを使用して止めます。これはチュビファーストに粘着成分が移らないのでベタベタせず便利な商品です。
ウェットラップ療法におけるチュビファーストを用いた場合のメリット・利点1~適度な湿度を長時間キープ
ウェットラップ療法をチュビファーストを利用して行う場合の一番のメリットは、適度な湿潤環境を長期間にわたって利用できることだと思います。
単に濡れた包帯をラップで包んだ場合には、肌に密着した状態が長時間にわたり保たれ肌の湿度は保たれるのですが、汗をかいたりするとベタベタと蒸れるような不快感を覚えることになりがちです。
この点、チュビファーストを用いたウェットラップ療法ならば、そういった問題は起きにくくなっています。
ウェットラップ療法におけるチュビファーストを用いた場合のメリット・利点2~通気性の良さと冷涼感
1とも関係するのですが、ウェットラップ療法をチュビファーストで行うメリットの一つは、通気性の良さにあると思います。
使ってみればわかるのですが、ウェットラップ療法でありながら、ウェットであるという感覚じゃないんです。
それでいてしっかり湿度が保たれ、傷口の回復はウェットラップ療法並みかそれ以上になります。
また、通気性が良いので蒸れたりせず、下に巻いたチュビファーストが水分を蒸発する際に奪う気化熱のおかげで、冷涼感が長時間保たれることになります。
これが痒みをおさえてくれるので、寝ている最中に引っ掻き傷を作ったりすることもなく、快適に過ごせるようになります。
自分の場合、手荒れの治療にラップ&ステロイドの密封療法を利用していた頃は寝ている最中に無意識に外してしまうこともあったのですが、チュビファーストを利用してからはそういったことがありません。非常に便利だなと思います。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点1~裏返して使用しない
チュビファーストの表面は、内側がざらざらしていて、外側がつるつるしています。
なので内側と外側を逆にして使用したくなるところですが、この内側のザラザラには意味があるんです。
チュビファーストは特殊な織り方がされており、内側をざらざらにすることで患部との接触面を少なくし、通気性を確保しています。
ですので、チュビファーストのつるつるの面を内側にして利用すると、密着しすぎて通気性が悪化する可能性があるのです。
チュビファーストは必ず裏表をちゃんと理解して使うようにしましょう。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点2~乾いてしまったら?
チュビファーストは通気性を確保していますので、料理用ラップなどを用いたODT療法(閉鎖包帯法、密封包帯法、Occlusive Dressing Technique)に比べて乾燥はしやすくなります。
この場合、いちいち内側のチュビファーストを外して濡らす必要はありません。
やや暖かいお湯をスプレーボトルに入れ、内側のチュビファーストにだけ霧吹きすることで、再度湿潤し、冷涼感を得ることができるようになります。
利用してみてください。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点3~洗濯方法・洗い方
チュビファーストは包帯ですから、使ったあと洗えば再度利用できます。
このとき、洗剤などを利用してそれが残ってしまうと、次に使ったときに皮膚をかぶれさせてしまいます。
出来る限り手洗いで揉みだすように洗うようにしましょう。(洗濯機で洗う場合にも、事前にいくらか手で洗うと皮脂の汚れが落ちやすくなります。)
また洗濯洗剤を使用することは可能ですが、漂白剤などは使わないようにしましょう。
洗った後はしっかりすすいで、石鹸分が残らないようにしましょう。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点4~陰干ししよう、アイロンは使わない方がいい
チュビファーストは特殊な素材でできています。
人口絹糸で織り上げているため、アイロンなどの高い熱、乾燥機などには非常に弱くできています。
時短向けの洗濯コースではなく、なるべく手洗い、乾燥などは陰干しで行うようにした方がいいと思います。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点5~保険適用されない
現状では、チュビファーストは保険適用されていません。
アトピー治療において非常に便利で効果的な製品なのですが、全て自腹で負担しなくてはなりません。
チュビファーストを用いたウェットラップ療法における注意点6~じゅくじゅくな患部は避けた方がいいかも
チュビファーストを用いたウェットラップ療法ですが、いくら特殊な織り方で皮膚につきにくいとは言っても、ジュクジュク過ぎる患部には向いていないような気がします。
患部の状態が非常に悪いようならば、一度ラップ療法などですべすべにし、そのあとでチュビファーストを利用するなどした方がいいと思います。
自分は一度じゅくじゅくなところに使いましたが、かるくではありますがくっつき感があって嫌でした。
すぐに剥がれましたが、子供だと嫌がる子もいるかと思います。
以上、チュビファーストを用いたウェットラップ療法の個人的な手引きでした。
上記はあくまでも個人的な使用で感じたことですので、全ての方におすすめというわけではないかもしれません。
詳しいことは主治医の先生などと相談のうえ、治療方向を決めていってください。