2016年9月、厚生労働省はデパス(エチゾラム)の危険性を認め規制を強化
厚生労働省がデパス(エチゾラム)を第三種向精神薬に指定
厚生労働省は2016年9月14日、デパス(エチゾラム)を第三種向精神薬として指定しました。
これはデパス(エチゾラム)が乱用された場合の危険性を受けたもので、この指定により規制と罰則が強化されることになりました。
デパス(エチゾラム)とは?
デパス(エチゾラム)はチエノトリアゾロジアゼピン系の睡眠薬、抗不安薬です。
チエノトリアゾロジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬と構造が似ており、ほぼ同じくGABAA受容体に作用する薬剤となっています。
デパス(エチゾラム)は抗不安剤、もしくは睡眠薬として使用されてきた
デパス(エチゾラム)はこれまで、抗不安剤、もしくは睡眠薬として使用されてきました。
脳内で神経を興奮させるベンゾジアゼピン受容体(BZD)という部分がありますが、これを刺激することで脳の興奮が抑えられ、それによって眠気を起こすことがデパス(エチゾラム)などベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴になります。
つまり、睡眠薬としても使えるし、抗不安剤としても使えるわけですが、その使われかたの違いによって、依存症になりやすさがかわってきます。
デパス(エチゾラム)の血中半減期は約6時間
デパス(エチゾラム)の血中半減期(血中濃度が半分になる時間)は6時間と少しとなっています。
つまり、睡眠薬ととしての使用であれば、デパス(エチゾラム)を飲んで起きるまでに半減期になるので便利なのですが
(翌日の行動に支障が出にくい。眠いまま仕事をしたりしないですむ。)
抗不安剤として使用する場合には、少なくとも一日3回の使用が必要になり、使用回数がどうしても増えてしまいます。
使用回数が増えれば、投与される量も増えますし、それだけ依存症に陥るリスクが大きいのです。
こうしたことから、デパス(エチゾラム)の抗不安剤としての利用は近年やや避けられる傾向になってきているようです。
デパス(エチゾラム)は離脱症状が起こりやすく、依存しやすい
デパス(エチゾラム)は半減期が短く、すぐに効いて、すぐに効果が切れます。
また、薬理作用も強く、少ない量でも大きな抗不安効果があります。
そのため離脱症状がおきやすく、依存症になりやすいのがデパス(エチゾラム)の問題点です。
デパス(エチゾラム)の使用は30日以内にすることが推奨されています。
デパス(エチゾラム)の乱用問題
以上のように、デパス(エチゾラム)は抗不安剤として利用された場合に非常に乱用の危険性が高い薬剤であり、長期間の連用が避けられる傾向にあります。
なお、デパス(エチゾラム)は日本の向精神薬の乱用問題において第三位とされ、かねてより非常に問題視されてきました。
厚生労働省による第三種向精神薬への指定は、こういった経緯を反映したものです。
デパス(エチゾラム)による肩こり改善
デパス(エチゾラム)は筋弛緩効果もあるため、緊張状態による肩こりなどの治療にも使われたことがあります。
しかし、こうした使用は慢性化しやすく、依存症を多く生み出すことに繋がりました。
現在ではこういった使われた方は減っていますが、いまだに別名目として出されたデパス(エチゾラム)を肩こりが酷いからと利用する例もあるようです。
今後はこうした使い方に対しても規制が増えていくことが予想されています。
デパス(エチゾラム)は認知症を誘発?
デパス(エチゾラム)には認知症を誘発する効果があるのではないか、とも言われています。
実際にはデパス(エチゾラム)の使用をやめることによって認知症のような状態が治ったという事例もあるようではっきりしたことはわかりませんが、危険性が高いのではないか?と言われ始めています。
交通事故をおこした人から検出される薬物で一番多いのがデパス(エチゾラム)
週刊現代によると、交通事故をおこした人から検出される薬物で一番多いのがデパス(エチゾラム)なのだとか。(2017年1月3日の記事)
こうしたことからみても、デパス(エチゾラム)の危険性はもっと広まってもいいのではないか、と指摘する声があります。
デパス(エチゾラム)の投与期間上限は30日に制限へ
今回の厚生労働省の決定により、デパス(エチゾラム)の投与期間上限は30日に制限されます。
取り扱いも制限が強く課されることになり、これまでよりも乱用は少なくなるでしょう。
しかしいまだにあちこちの精神科を巡ってこういった薬を集める人々も存在し、それを横流しする人もいるとのこと。
根本的な問題解決にはまだまだ時間がかかりそうです。