英国の免疫学者チームがエイズウイルス(HIV)の「抑制ではなく根絶」に成功~研究はまだ初期段階
英国の著名な免疫学者で構成するチームが、エイズウイルス(HIV)の根絶に成功したとのことです。
これは国民保健サービスNHSとともに行われた研究とのこと。
これまでのエイズ治療は根絶ではなく抑制することを目的としていました。
しかし今回の研究の目的は抑制ではなく根絶することを目的としているのが野心的な点です。
この研究に参加した50人の被験者のうちの1人の血液を治療後に調べたところ、HIVの痕跡が検出されなかったとのことです。
この研究では、抗レトロウイルス薬だけでなく、休眠しているHIVウイルスを再活性化させる薬と、免疫システムを刺激するワクチンを組み合わせているとのことです。
ふだんHIVは人間の細胞内で休眠していることから、これを呼び起こしてから攻撃する手法をとっているそうです。
このKick&Kill、Shock&Killといわれる手法は動物実験では成功していたそうです。
これを今回、人間でも適応可能か確かめているとのことです。
今回のHIV撲滅プロジェクトの顧問Dr Sarah Fidlerによると、
「この研究は休眠中のHIVも含めて根絶することを目的としている」
とのことです。
Oxford, University of Cambridge, Imperial College London, University College London and King’s College Londonの研究者からなるこのチームは、今後5年間にわたり医療検査を継続するとのことです。
2014年、世界中では3690万人がHIVとともに生活しているとのことです。
詳しくは以下をごらんください。
https://www.wired.co.uk/article/hiv-cure-study-human
https://www.elsevier.com/connect/new-shock-and-kill-approach-could-eradicate-barrier-to-curing-hiv
なお、HIVはかつて全く治療法がない感染症であるとされてきました。
その理由は、HIVの変異スピードが非常に早いこと
またヘルパーT細胞に感染するという特徴からして、排除する側にとりつくという、非常に厄介な性質を持っていたことが原因です。
近年、こうしたHIVの特徴をゲノム編集技術によって逆手にとって治療しようという動きも出ています。
いまだ完全な治療法とはなっていませんが、いずれそのうち、あと20年以内?くらいには、こうした治療法も確立されるのではないか、と思われます。