妊娠中にフルニトラゼパム(サイレース)を服用していると奇形児が生まれる？～睡眠薬と催奇形作用～

妊娠中にフルニトラゼパム(サイレース・ロヒプノール)を使用していると奇形児が生まれる、催奇形作用が動物実験で報告されています。

この動物実験は、人間の使用に換算すると50㎏ものフルニトラゼパム(サイレース)の錠剤を飲む状況ですので、実際には非現実的だと思われます。

ですので、一般的には絶対禁忌ではないけれど、できれば服用をやめましょうね、という感じで言われることが多いと思います。

動物実験で、通常ではありえない数字だとはいえ、実際に催奇形性(奇形児の出産)は起きていますし、妊娠中の女性にとっては非常に心配なことだと思います。

今回は、このフルニトラゼパム(サイレース)と奇形児出産(催奇形性)についてみていきたいと思います。

フルニトラゼパム(サイレース)で奇形児を出産する確率はどれくらいあるのでしょうか？

この問いに対するひとつの基準として、アメリカの食品医薬品局FDA(日本の厚生労働省のようなものです)の基準があります。

これによると、フルニトラゼパム(サイレース)の催奇形性はカテゴリーD。

FDAにおけるカテゴリーDというのは

「ヒトの胎児に危険性がある証拠はあるが、危険であっても妊婦の利益が容認される場合(他に手段がないなど)であれば、使用をしてもいい」

というものです。

フルニトラゼパム(サイレース)の添付文書にも

「動物実験で催奇形性が報告されているので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい」

と書かれています。

また、奇形児出産のリスクとは異なるのですが、フルニトラゼパム(サイレース)など睡眠薬を服用していたことで、生まれた後の赤ちゃんに離脱症状や、無気力症状、ボンヤリした状態や、逆に怒りっぽくなってしまったりなどの症状がありえます。

こうした離脱症状や情緒の問題などを考えると、フルニトラゼパム(サイレース)を安易に妊婦に使用することには躊躇してしまいます。

妊娠中は、できるだけ自然な睡眠を心掛け、フルニトラゼパム(サイレース)などの睡眠薬は飲まない方が好ましと思われます。

ただ、どうしても利用する場合は、しっかりと医師と話し合って、具体的にどの程度の期間、どういった使い方をするべきか相談すべきとおもいます。

その際には、精神科医ではなく、産婦人科医に相談しましょう。